群青の空を越えて Gefrorenes Ideal
- 作者: 早狩武志,黒鷲
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2008/01/31
- メディア: 新書
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最高だった。読んでいる間、自分が本当にこの作品が世界観ごと全部大好きなんだと何度も再認識した。
これはものすごく幸せなノベライズなんじゃないかと思う。ただノベライズという言葉にはちょっと当てはまらなくて、原作のシナリオライターである早狩武志自身が書いている前日譚とほんのちょっとの後日談。何が幸せって、本編ですごく良いキャラだったストーリーに欠かせない脇役達が、こっちの小説ではメインで活躍してるんですよ。
群青の空を越えてっていうゲームの何が良かったって、脇役までみんな良いキャラしてたとこだと思う。誰が死んでも、惜しい人を亡くしたって悲しくなった。その、この人の過去が知りたい、この人のがもっと活躍すればいいのにってゲーム中思っていたことが、この小説で実現される。本編の世界を描いた早狩武志自身の手によって、まったく同じ世界で。
しかし、やっぱり諒と社は似ているところ(特にヘタレな部分)があると思う。加奈子が社に惹かれた理由もそれだったかな。美樹はこの過去があったからこそ社やトシの教官になったときにあそこまで厳しくしたんだろうとか。
ラストはわかっていたからいくらか覚悟はできていたけど、いろんな人たちの考えや思いが交錯して、現実に翻弄されて、悲劇へ転がり落ちるのはやっぱりつらいな。でも後日談もそうだけど、この作品は救われない人がいるからこそ良いんだと思う。そうでなきゃ戦争やった意味がない。
というわけで本当にこれで「群青の空を越えて」の話は完結。
にしても嬉しいのはこれを読んでいる間に早狩武志の新作が発表されたことですよ!いまから期待に胸が膨らみます。楽しみ。