ダウン・ツ・ヘヴン
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/11
- メディア: 文庫
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全てを俯瞰し傍観していて常に冷静だったクサナギが自分以外の人との関わりを持つことによって優しさや愛情に触れることで徐々にクサナギ自身も変化していく。
誰かと一緒に飛ぶことを夢に見たり、落ち着いた気分の中で優しいってことを少しずつ理解する。これは1巻にはなかった部分で、そういった感情の変化の発端がティーチャへの興味にあったことは間違いないんだろう。
そして、ティーチャとの邂逅。彼とのダンスがこれほど早く見られるとは思ってなかった。50ページのダンス。本当にダンスって言う言葉がよく似合う。くっついて離れて、すれ違って、攻守逆転。お互いが相手をもっと高みへ誘う。
このシリーズの空戦シーンは、クサナギが普段冷静なのと空を飛んでいるときのギャップの分だけ熱くなれる気がする。クサナギとティーチャが互角で、お互いにとって一番良い相手だからこそ、クサナギのテンションの上がりっぷりが最高。
今回の流れとして、クサナギが少しずつ政治的な側面として利用されてきて、だんだん戦闘機乗りとしての自由が奪われていく。でもやっぱ戦争ものは(と言ってもそこまで数を読んだことはないけど)こういうのがいい。自由になるために戦っているのに、自由を奪われる。その背反とか矛盾に苦悩するキャラクターの姿がたまらなく良い。