アカイロ/ロマンス 6
- 作者: 藤原祐,椋本夏夜
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/12/10
- メディア: 文庫
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完結です。正直言うと、2〜4巻は展開のぬるさが何となく引っかかっていて、そこまで面白いというほどでもなかったのが本音。ただ、5巻でそのぬるさが一気に生きていたと思う。6巻はいい最終刊。良作でした。以下ネタバレ込みの感想。
読み終わったからそう感じるのかもしれないけど、展開の仕方が堅実な感じがする…作者自身がこう言っているように。5巻のラストは追い打ちに追い打ちをかけるような展開でここまで落とすのかと。その衝撃の大きさも、先に書いた2〜4巻のぬるさがあってこそ映えるものだったと思う。
6巻はそれぞれ成長したみんなの姿を見せて、ラストに収束する、まさに結の巻にふさわしい展開でした。
最期まで読み終わって気づいたんだけど、これはやっぱり「つうれん」の物語だったんだと思う。まぁそれはつまり鈴鹿一族という意味ではあるんだけれども。
鈴鹿一族が生まれた理由は、やっぱり人を愛すること。初めて人に非ずして人を愛し、そして過ちを犯してしまった誰かさんの母の夢。いつか過ちを犯さずともそれを叶えられる時が来るように、それが理由だったのではないかな、と思う。
木春が犯してしまった過ちは、つまり鈴鹿始祖と同じ過ち。そして、様々な人の過ちを乗り越えて枯葉が成したのは、その先祖がいつか思い描いた密かな夢で。
人に混じり、人と共に、人として生き、人として死ぬ――。
一族のゆめは果たされ、おわり、鈴鹿が一族として在る意味はなくなった。だからこそ通連はもう必要ないのだろうと思いました。