狼と香辛料 12

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈12〉 (電撃文庫)

 言葉や仕草の端々から、なんというか物語の終わりが近づいている予感がして、寂しさを感じつつ読んだ。
 経済やお金に振り回されて東奔西走するわけじゃなかったので、まったり読めた気がする。こういう普通のお話もたまにはいいんじゃないかな。まぁ普通ってことはあまり物語に関しては書くことがないわけだけど……。
 今回は僕がこのシリーズの好きな成分が多めに出てて、実は割と気に入ってるんですよね。というのも、ファンタジーの割には文化とか人の考え方が現実的だったりして、そういうとこが好き。自然とそうなったというか、本当にあったことのように辻褄が合っているように感じる。
 だから、感心というか、すごく納得することがよくあります。ユーグの「興味がない」という言葉とか、領主の異教と正教の間を行き来する身の振り方とか。それは逃げているんじゃなくて、生きていくためだとか、幸せに過ごすためだとか、そういうことなんだなーとか。きっと、もっと巧い方法はいくらでもあるのだろうけど、それはまた別の話で。
 というわけで、何が言いたいかというと終わってしまうのは寂しいなあと。最終巻がいつか出たとして、しばらく読めなかったりするんだろうか。