魍魎の匣

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

 やっと読んだ。前作の「姑獲鳥の夏」を読んでから8ヶ月も経ってたよ……。読んだのは新書版。電車の中とかで読んでいたので地味に重かった。
 やっぱり、おもしろいよなあ。さすがに有名だけあって、割と途中までアニメや漫画で知っていたりとか、かなり重要そうなネタバレを見かけたりしてたけど、それでも読んでいるとそれが核心ではなかったりして「まだ先にも謎があるのか」と感心した。


 バラバラに発生した事件が、互いに影響し合っているんだけど、読む側としては全部の事件が見えていても、作中の人物はその人が関わっている事件しか見えないわけだから、それが繋がらないのがやきもきする。
 それでいて各事件の場面では事件と共にキャラクターの内面まで掘り下げていって、あーそろそろこの人の話飽きたな、と思わせる寸前で巧い具合に視点を切り替える。
 「物事を語る順序」という術中に、完璧に嵌ってしまったとしか言いようがない。
 解決編で、それぞれの事件がそれぞれの結末を迎えつつ、1つの時系列を作っていくのは、驚きと安堵感が組み合わさった不思議な感覚だった。
 ラストには、なんだか姑獲鳥と同じものを感じた。というか、ヒロインのタイプが姑獲鳥と同じだよね。名前も似てるし。京極夏彦の趣味なのかな?いや個人的には大歓迎なんだけど。