ぷりるん〜特殊相対性幸福論序説〜

ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)

ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~ (一迅社文庫)

 ソフラジで割と中身をわかってしまってから読んだけど、ずいぶんおもしろかった。
 読んでいて、なんとなく桑島由一のパーフェクトキスを思い出した。自分の内面に沈み込んでいくような文体がそうさせたのかもしれない。
 設定はえろげみたいなんだけど、お話には現実味というか現実の暗い部分や、やるせない面が見せつけられたりで、要するに現実でえろげの設定をおいたらこうなるんじゃないか、という印象。
 内省的な文体も相まって中盤あたりでどうしようもなくどろどろというか鬱々しいんだけど、そこから何とか頑張ってそれを立て直そうとする主人公が良かった。
 結局解決したのは、それぞれの間にある関係だけで、個人の中にある問題は何も変わっていないけど、みんなが幸せになるためには、どうすればいいのか。みんな愛されたいと強く願っていて、その欲をうまく満たしつつなだめつつやっていくには、どうすればいいのか。それを考えるお話だったのかな。
 んで、やっぱり僕はぷりるんがいちばん好き。やっていることがいちばんかわいい。そしてヘタレ的ではあるけれど、ちゃんと自力で解決しようとする主人公はかっこよかった。