背伸びして情熱

背伸びして情熱 (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)
- 作者: 仙石寛子
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/04/07
- メディア: コミック
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個人的に、コミックエールを買う理由のほぼ半分を占めていたと言っても過言ではなかった。帯の「純粋で残酷、切なくて愛おしい」が秀逸。ここまで的確にこの作品を表現する言葉はない気がする。
体裁というかコマ割りは4コマ漫画なんですが、縦4コマで起承転結というのではなくて、次は隣上のコマへと繋がっていく不思議な構成をしています。この構成もこの作者独特の切ない雰囲気を構築するのに一役買っているんだと思います。
- 背伸びして情熱
男子高生の三咲が、好きになった数学教師に告白するところから始まるお話。
例えば、誰かに告白されたとして、それが今まで少しも考えもしなかった相手だとして、どうするか。そこで「考えもしなかった相手」のことを考えることを選択した先生の苦悩する姿が本当に良い。
三咲も三咲で、好きになって告白したからこそ生まれる気持ちを持て余して悩みながら、先生に好きになってもらおうと積極的になって、さらに先生も悩んで…という感じ。
- 赤くない糸
恋愛感情を持ってしまった、血の繋がった姉弟のお話。
この2人って、恋人としての関係を望みながら、優先順位としては姉弟の関係と相手の幸せのほうが大事という考えなので、先に進めない。2人の間の簡単には縮まらない距離が辛い。
この人の作品は、好きという気持ちの正体を手探りで探るような感じなんですよね。何が「好き」っていう気持ちなのか、なんとなくわかっているけど、なんとなくしかわからない。そのなんとなくの部分を少しずつ触っていく感じがする。
それがすごく純粋で、だからこそ切ないし愛しいし、残酷だとも思える。涙腺に届くか届かないかぐらいの絶妙な切なさが本当に素晴らしいです。
それからこの人の描く女の子は、困った顔が本当に可愛い。ちなみに僕はキャラで見れば「背伸び〜」の先生が一番好きだけど、お話としては「赤くない糸」のほうが好み。でも全体的にこの人の描く女性はみんな好きなタイプです。
読み切りは「夫婦かき氷」と「お嫁に行っても」が良かったです。いや本当切なさがたまらん。